残業時間管理をされるようになって、余計にブラック企業になった話
電通の残業問題が少し静まってきましたが、元祖ブラック業界(?)と名高い建設業界に勤めている僕の会社でも残業問題について今盛り上がっているので、少しお話ししたいと思います。
目次
建設業界がブラックと言われる理由
1,利益率の高い仕事を受注する
2,人件費を下げる
3,下請け業者をたたく
ここで長時間労働につながるのは、
2,人件費を下げる
です。
2は簡単に言えば、社員の人数を半分にして、一人あたりの給料を1.5倍にすれば他社よりも利益が上がります。
このような会社の中で長時間労働に耐え抜き出世した人たちが、企業の経営者になるので残業問題は解決してきませんでした。
だってそうですよね?経営者は徹夜、休日出勤が当たり前で、その中でも成績を残してきたから出世しているのですから。
このやり方に疑問をもつ経営者の人は前役員のうち1割もいないんじゃないでしょうか。
むしろ、俺はこうして出世してきた。俺のように仕事をして、お前たちも出世しろと思っている人がほとんどです。
労働基準監督署〜ブラック企業にとっての最大の敵〜
そもそも労働基準法では1日8時間、週に40時間を超える労働は原則として認められていないのです。
36協定により一定時間なら残業をしても良いですよという制度があります。
さらに、建設業界では36協定の適用除外という奇跡の制度が存在しています。
だからと言って、200時間も300時間も残業して良いわけではありません。
一応、残業時間は月100時間以内、年間960時間以内という規定はあります。
この制度があるおかげで、社員の認識は月100時間以内、年間960時間以内なら何時間でも残業をつけて良いという風習があります。
このおかげで世間で建設業界は激務高給に分類されています。
ただし、建設業界はブラック業界として労働基準監督署から目をつけられているので、勤務記録が正しくつけれられているのか確認しにきます。
これまでは、笑顔でちゃんとつけていますといえば、許されていましたが、最近ではパソコンのON-OFF時間がPCにログとして記録されるため、勤務記録とPCログの時間に差異がないかを確認しています。
勤務記録とPCログの時間に差異があれば、労働基準監督署から指導対象となるため役員を含めた管理職は必死になって勤務記録を適正につけるように社員に指導しています。そして、勤務記録を正しくつけているかどうかを毎週チェックして勤務記録が適正につけていない社員には課長から厳しく指導されます。
他にも残業時間を削減するために、月末には翌月の予想残業時間を自分で作成し、上司から承認を得るという仕組みがあります。
予想残業時間を作成することにより自分の業務内容を把握して、残業時間が多くなる場合は上司と相談して対策を打つためにも利用できます。
だからと言って一人当たりの仕事量が減るわけではありません。そもそも残業ありきの仕事量ですから。
お客さんにとっても、発注した会社が残業削減をしているからといっても、お金を払っている以上はきっちりと仕事をしてもらわないと困ります。
それなら人数を増やせば良いのでは?と思うかもしれませんが、人件費が上がり利益が下がるので、経営者は簡単に重い腰をあげません。
だから仕事量が変わらずに残業時間を減らす(PCログに記録されずに仕事をする)方法をみんな智恵を出し合って実行しています。
残業時間を減らす方法とは
当然ですが、PCログを減らすためにはPCログが記録されるパソコンを使わなければ、良いだけです。このご時世パソコンなしで作業することが不可能であるため、定時になると仕事を切り上げて、ごそごそしだします。
まさか、帰るのか?
・・・と思い周りの人のパソコンを見てみると途中の仕事をUSBに入れて、私物のノートパソコンを開きだします。
・・・
えっ?まさか・・・
そのまさかです。自分のパソコンを使って、仕事を続けます。
これこそが、何年も残業問題が解決しなかった会社が実践している労働基準書対策の知恵でした。
管理職のみなさんへ
残業をするなということは上司はいますが、部下の業務内容を把握した上で、残業の必要性を指導する上司は一人もいません。
もちろん経営者は残業問題に対して、なんとかしろとしか言いませんし、残業対策のためのITツールなどを提案したとしても、お金がかかるので採用もされません。
苦肉の策で生まれた残業時間削減方法が、PCログが取られるパソコンは使用しないということです。
その結果、今まではそれなりに出ていた残業代が減ってしまうという始末です。
今だと特に中間管理職の方は残業対策について経営者から厳しく言われている方が多いと思いますが、くれぐれも残業時間を管理することで解決しようと考えないでください。
まずは、一人当たりの仕事量を減らすために業務管理をすることから始めてください。
あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。
- 作者: 日野瑛太郎
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